2009年7月1日水曜日

くたばれ携帯認証


 友人をmixiに招待したが、携帯がないとだめだといわれたと連絡があった。「なにいってんだ。携帯は関係ないだろう。もってないマイミクもいるぞ」といったのだが、本当だった。

 どうなってんだ。こちらが入会したときだって、携帯電話は関係なかったはず。老人は携帯を持っていないへそ曲がりも少なくない。だいいち、持 つ、持たないは、個人の自由だ。mixiと関係ないだろう。古い友人とやっとつながる手だてができたというのに、どうにも腑に落ちない。そこでmixiに 聞いてみた。

 いつからそうなったのか? また、それはなぜか? 答えは驚くべきものだった。

 PCでの登録には、mixiモバイル対応機種の携帯電話からの認証操作が必要。そのため、携帯電話がない、あるいは対応機種外の携帯電話では、 mixi に登録はできかねる、というのだ。「誠に恐れ入りますが」といいながら、「もう決まっていることだから」とにべもない。

 要するに「安全性強化に対する取組み」で、「現状、携帯認証に代わる登録方法はございません」と。「ご期待に添えず心苦しく存じますが、ご理解、ご協力の程、よろしく」といわれても、素直にウンというわけにはいかない。そこで再度問い合わせた。

 なぜ携帯なのか。「安全性強化の取り組み」とは、具体的にどういうことか。それが善良な入会希望者を閉め出す結果になっていることを、どう考えるのか。認証というが、道を歩くのに、「運転免許証を見せろ」というようなものではないか。

 とくに、携帯認証に、運営事務局の内部から異論が出なかったのか。もし出なかったとすれば、驚くべき無神経。まるでSFの世界ではないか。こんなことを考えた人間の顔が見たい、とまで書いてやった。

 しかしその答えは、「利用規約違反行為を防止するため」で、「具体的な仕様の詳細などにつきましては回答いたしかねます」と。なによりも「携帯 認証」という、それ自体よくわからない手続きが、規定の事実になってしまっていて、なぜだ?という問いに答えることすらしないのである。

 認証というからには、一種の身分証を求めているということだろう。古くは米穀通帳(若い人は知らないか)、近年は運転免許証がその役をはたして いた。米を食べない人はいないから、米穀通帳は確かな身分証にはなった。免許証だと、運転しない人たちは不自由だったことだろうが、個人の認証の手だて は、ほかにいくらもあるし、だれもそれを拒否することはなかった。

 ところがこのmixiは、いかに閉じられたプライベートなコミュニティーとはいえ、「携帯電話以外はダメ」というのだから、なにやら空恐ろしい。

 携帯電話の普及は飽和状態に近いらしい。わが家は4人家族だが、たしかに4人とももっているし、街でも電車でも、携帯があふれている。まして ネットの画面上での手続きだから、mixiが免許証がわりにと考えるのも、わからないではない。mixi以外でも行われているのかもしれない。

 しかし、「それ以外はダメ」というのは、話が違うだろう。一方で、「マイミク・キャンペーン」なんてものをやっていながら、漏れた人間はいなくてもいいというのだから、これはもうニュースといっていい。世の中そこまでいってしまったのかと。

 そもそも「認証」とはなにか。メンバーの紹介でできているマイミクに、さらに「認証」を求めるというのは、「紹介制」がすでに破綻していて、いかがわしい「マイミクのお誘い」が横行しているということなのであろう。

 しかし、よからぬことをする輩は、どんなことをしてでも入ってくるものだ。一方で、ケータイの世界も大いにいかがわしい面をはらんでいる。いかがわしさを掛け合わせて「認証」とすましているのは、つまるところ、問題が起こったときのアリバイにすぎまい。

 結果的に切り捨てられるのは、多く老人になろう。現役を退いて静かに余生を送っている人には、「もう携帯とは縁を切りたい」というのも少なくな い。また実用上も、家には電話があり、出先では公衆電話もある。マイミクにも1人いる(携帯認証以前に入会)が、今回の友人もその口であった。

 それがたとえ100人に1人だろうと、別の道を開けておくのが筋だろうに、閉め出して平然としているmixiの神経には恐れ入る。mixiの回 答は最後に、「可能な限りご期待に添えるよう、今後の参考とさせていただきたく存じます」と空々しく書いていた。くそいまいましい。これとて、マニュアル の文章のコピペだろう。

 あらためてmixiを見ていると、お仕着せの環境のなかでお仕着せの平和を楽しむ無数の「従順な羊」の群れを見るようで、ぞっとする。彼らに は、なんでぞっとするかもわからないのだろう。こういう連中にどこかで一泡吹かせてやれないものか。へそ曲がり老人はこの数日、そればかり考えている。

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