2010年3月16日火曜日

ネットのあちらとこちら

 このページにはカウンターもなし、書き込みもないから、読んでくれてる人がいるのか、ちゃんと見えているのかと心配になって、管理者にメールしてみた。すると、「正常です」という返事があった。まずはひと安心。

 ところがメールの書き方を間違えて、タイトルにメッセージを書いてしまったために、読んだひとがわざわざこのページをのぞいて、ご親切にアドバイスをくれた。これ自体驚きだったが、その内容もまた、目を見張るようなものだった。

 まずは「記事数が少なすぎる」「内容も面白くない」「これではだれも読まない」「読む必要がない」とぼろくそである。この方はブログで「新聞記事の掲載アーカイブ」をやっているのだそうで、1日の書き込みが200から400という。そうなるためにはこれこれと、そのやり方を説いてくれていた。それはいい。

 驚いたのは、なかに「絶対に意見を書いてはいけない」とあったことだった。このブログは、メディアのありようで気になったことを書き留めている個人のつぶやき。だからこそ「メディア日記」なので、つまりは、意見そのものである。だから、これをいけないといわれると困ってしまう。

 どうやら、自分のニュース発信サイトと同じだと勘違いしたらしい。「写真を載せると見てくれる」「動画も面白い」などという。新聞などのニュースサイトか役所のHPから、記事やスピーチを転載しているようで、「アメリカ大統領の声明の原文、訳文を載せたら、云々」などとも書いてあったから、つまりはコピペ。写真もコピペ。ごていねいに「著作権」の注意までしてくれていた。

 yahooやgoogle、既存のメディア以外にもさまざまなニュースサイトがあることは知っていたが、「掲載アーカイブ」というものはまだ見たことがない。しかし、その意味合いはわかる。普通のサイトでは、ニュースの形のものばかりになるが、それらの元になる、声明や覚え書き、判決の全文とかが並んだら、それはたしかに便利だろう。

 日の書き込みが何百というから、PV(ページビュー)は相当な数になるに違いない。驚いた。そういうサイトはいったいどれくらいあるのだろう。

 新聞やテレビが形作っている情報世界とは別に、その何倍ものスピードで情報を拡散しているネットワークが存在している。その世界、つまりあちらの世界に通じている人たちは、こちらの世界の人間でもあるのだが、こちらの世界の大半の人たちは、あちらの存在すらほとんど知らない。そんな2つの世界が併存している。まるでSFだ。

 かつてホリエモンが、「新聞なんか要らない。ニュースはネットを見れば出ている」といったことがあった。「この男はニュースというものをわかってないな」と思ったものだ。ネットだろうと何だろうと、だれかが書いているんだということを、彼はきれいに忘れていたからである。

 いまあるネットのニュースサイトのコアとなるニュースは、既存のメディアが支えている。新聞、通信、放送が作るニュースが配信されて、その先は多少の編集を加えるか、コピペとなるか。それがまた、意見ばかりの2ちゃんねるのようなサイトを経て、はね返っても来る。その中に新しいニュースが加わっていることもあれば、玉石混淆の石だって時には意味を持つだろう。

 ここまではわかる。ネット情報が大きな力をもっていることもわかる。しかしその実像となると、こちらの世界の人間にはまずお手上げである。たとえば異常な注目を集めた事柄では、ニュースサイトへの書き込みが、日に一万を超えることもあるのだそうだ。そんなものだれが読むのか。

 昨年春だったか、当時の麻生首相を応援して「著書を買おう」というネットの呼びかけ(「まつり」というらしい)で、ベストセラーになったことがあった。呼びかけはあちらの世界だが、本が売れるのはこちらの現実である。

 これがもし政治の世界に応用されたら?と、懸念したのはこちらの人たちだったが、あとの選挙で、麻生さんが勝つことはなかった。あちらの人たちも、こちらで投票するときは、使い分けをしていたのだろうか。

 いえるのは、ネットの世界の実像や力を測る物差しを、まだだれも持っていないということである。これは実に不気味だ。力があることはわかる。新聞、テレビがおたおたするくらいなのだから。

 彼我のカベを破ってその力がこちらに及ぶとしたら、どんなときにどんな形になるのだろう。アメリカや韓国の大統領選挙ではすでに、ネットが大きな役割を果たしたといわれる。それが果たしてひな形になるのか。

 おそらくはコピペやリンクの闘いになるのだろうが、そんなものにひきずりまわされてたまるか。そのための方策は、ちょっとへそ曲がりになることである。付和雷同せず大きな声に流されないためには、意地悪じいさん、ばあさんになろう。なに、乗り遅れたって、別に失うものなんかない。

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